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Uchiyama Asami
趣味の美術館巡りを通して感じたことを記録に残していこうと思い、このサイトを作りました。

ピカソ 青の時代を超えて

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ピカソ 青の時代を超えて展

今回はひろしま美術館にやってまいりました。

今日観にきたのは、ピカソの作品をたくさん所蔵しているひろしま美術館とポーラ美術館によるピカソの共同企画展です。

ピカソと聞くと、もう本当に有名な画家ですよね。なんだか常人では理解し難いような絵を描くイメージを持つ人が多いと思います。

私もピカソと言ったらキュビズムで有名な人という印象。キュビズムをきちんと説明しろと言われても、正直できないです。あんなに有名なのに私はピカソについて無知です。今回少しでも理解できるといいな。

青の時代

若い頃の自画像。色合いがシックでかっこいいです。

ピカソは、スペインで元々、裕福な人々の陰で暮らす貧しい人々のことを捉えて絵を描く事が多かったようです。

1900年という年は美術界において重要な年だったようで、現実に似せて画面に再現する時代は終わった!と、「再現」と「表現」その違いを生み出すために、画家たちはどのようにして表現するか葛藤していた。見たままを表現することは相当な技術を必要とすると思いますが、ここからはもっと違う表現を求められたのですね。これまでにない表現…すごく難しい事だと思います。でもすごく重要な時代だったのだな。とても興味深いです。

ピカソはこの時期にスペインからパリへ移り、様々な影響を受けたそうです。

そのうちの1人がロートレック。ピカソはその大胆な構図を模倣して描くこともあったようです。

他にもロダン、ベラスケスやエル・グレコなど、多数の作品を観て描いて、吸収して、自分のものにしていったのですね。

スペインにはないパリの芸術性や色彩にピカソはかなり影響を受けたようですが、スペインにいた時と変わらず、大都会パリの背後にある不安感や悲壮感などを捉えていたようです。

スペイン人としてのこれまでの自分とパリでの新しい芸術に触れた自分という二つの仮面を操るうちに、これらは統合されてひとつになり、「青の時代」のピカソを構成していくことになる。

「ピカソ 青の時代を超えて」展公式図録より
The Soup

パリの女囚のみを収監するサン=ラザール刑務所。その中でも、幼子と共に収監された母子の姿に衝撃を受け、「青の時代」の主要画題である貧しい女性像を描くルーツになったそうです。

パリで得た鮮やかな色彩で描くことを封じ込めてまで、貧困や母性、精神の闇を青い世界で表現することに集中していたようです。

ショップで購入した海辺の母子像のポストカード

青の時代を代表する作品、図録の表紙にもなっている《海辺の母子像》は下層に何度か違う作品が描かれていて、それを上から何度も塗り直され、分厚く塗り重なったためにできた凸凹の上に描かれているためか人物の輪郭などが力強く、青白く悲壮感がありながらも、生きる力も感じられ、自然とこの作品へのピカソの想いも伝わってくるように思います。

その下に描かれた絵は、X線で調べられていて、いくつかの作品を乗り越えて《海辺の母子像》が生まれたのですね。こうして専門家による技術で、画家の足取りがわかるのはすごいことですね。

キュビズム

「青の時代」を経て、またそれまでの自分のやってきた道を新しいものに進化させてゆくように新しい表現が生み出されます。

そして少しずつ確立されたキュビズム。ピカソといえば、キュビズム。私のイメージはそれです。初めからそういう表現をする画家と思っていましたが、そこに辿り着くまでにはやはりさまざまな時代背景、他の画家からの影響、そしてピカソ自身の感受性が必要だった。それらを超えて生まれてきたものなんですね。ピカソとその友人、ジョルジュ・ブラックにしかできなかったことなのかもしれないです。それまでの常識を超えて新しいものを生み出すというのは、簡単ではない。ピカソの凄さを改めて理解できました。

キュビズムという名称は“小さな立方体(キューブ)”から来ているそうです。

ピカソは単純な幾何学的な形を組み合わせて、その形の間にできる面に陰影を施し、奥行きや立体感を表現し、その構成によって静物や人物という主題を表現している。

「ピカソ 青の時代を超えて」展公式図録より

また、キュビズムは他の画家達によって研究され、それがワシリー・カンディンスキーの抽象画やアールデコの建築やデザインにも結びついていくなど、新しい表現方法として生まれただけでなく、その後の美術界に大きな影響を与えることにもなったとの事。そしてその抽象画もアールデコも現代の人々に(私にも!)多大な影響を与えています。偉大すぎる。

そして、私の勝手なイメージで、ピカソは絵を描き始めてから生涯を終えるまでずっとキュビズムなのかと思っていたけど(今考えたらそんなわけない)、「青の時代」から始まり、「キュビズム」、「新古典主義」、「シュルレアリスムの時代」と、どんどん表現方法を変えていったというのも驚きです。

生涯を通して、人生や戦争、平和、愛などをどう表現するかをずっと探究し続けたピカソ。

有名でも、その画家について知らないことはたくさんあるので、美術展に来ると、知るきっかけになりますね。

写真撮影可の作品も多かったですが、さすがピカソの展覧会、とてもお客さんが多くて、あまり撮れなかったですねー。でも、分厚くて読み応えのあるかっこいい図録も買えたのでまた家でいつでもゆっくり見返したいと思います!

ひろしま美術館

初めて訪れた美術館でした。展示室がある建物は円形で、ぐるっと、一周できて面白い造り!

今回は世界の平和を願って子供達が描いた、ピカソのゲルニカ風の作品が展示されていました!パワフルでとてもいいですね!

素敵なカフェもありました。いつも美術館のカフェでゆっくりしたいと思いながら、時間がなくて諦めます…今回もそんなかんじで入れませんでしたが、おしゃれな雰囲気でした!次回は寄りたいな。

そしてポーラ美術館の方にもいつか行ってみたいな!

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